2020.04.01

民法改正を大解剖!ファクタリングへの影響は?

私達が生活する中で当たり前のように使われている「民法」ですが、法学部に在学している・資格取得のために勉強中、といった特段の事情が無い限りは知る機会が少ないのではないでしょうか。
当ページでは民法の基本をはじめ、令和2年4月1日に施行される改正点について分かりやすく解説していきたいと思います。

『そもそも「民法」とは』
民法は、人と人もしくは企業との間で取引をする時のルールを定めた法律です。
身近な例でいいますと、物を売り買いする際の「売買契約」やお金を貸し借りしたときに結ぶ「金銭消費貸借契約」は、民法に基づいて取引されています。
ヨーロッパでは19世紀初頭ごろに既に一般化されていた民法ですが、人権という考えが根付いていなかった日本では、明治29年(1896年)にやや遅れて制定されました。

〈一般法と特別法〉
適用される法律には序列があります。
例えば、法人の場合は「会社法(又は商法)」が原則として適用されますが、会社法には契約に関するルールが定められておりませんので、民法の規定に従わねばなりません。
つまり民法は補完的な役割を果たしており、この関係性のことを「一般法と特別法」(会社法に規定が無い場合は民法のルールに従う)と呼びます。
民法は多くの法律の一般法に当たるため、私たちの生活だけでなく、企業取引にも大きな影響を及ぼす法律であると言えるのです。

『改正民法が2020年4月に施行』
「施行」とは、国会で決議された法案が実際に適用されることをいいます。
主な改正点は以下の通りです。

①民法総則
意思能力が明文化され、代理行為や時効に関する規定が見直されました。

②債権総論
法定利率や保証関連、債権譲渡や弁済等に関する規定が見直されました。
また、債務不履行時の帰責事由の明確化等が新たに追加されました。

③債権各論
契約に関する基本原則の明記、契約成立又は解除要件等が見直されました。
さらに、危険負担や瑕疵担保責任の見直しや各契約(賃貸借・請負・寄託契約など)も見直されています。


債権関係規定についての改正は何と約120年ぶりであり、近年の経済及び取引状況・社会発展に鑑み、より実態に近づける狙いがあるようです。
今回はファクタリングに影響を及ぼすことが予想される「②債権総論」について、まずは見ていきたいと思います。

『ファクタリングに関係する改正点』
ファクタリングは権利(債権)の売買であるため、民法の「売買契約」と「債権譲渡」に関するルールが適用されます。
今件の改正では、債権譲渡に関する規定のうち、問題点とされてきた以下の項目が重点的に見直されました。

既存民法
譲渡制限特約:譲渡制限特約が付された債権は原則無効
将来債権:明記無し
改正民法:譲渡制限特約が付されていても債権譲渡の効力は妨げられない
(だだし、債務者は譲渡人に対する弁済等をもって譲受人に対抗することができる)
将来債権:譲渡が可能である旨を明記

(466条6項)


〈譲渡制限特約について〉
譲渡制限特約とは文字通り債権の譲渡を禁止する規約のことです。
例えば、クレジットカードはクレジット会社が利用者の代わりに立替払いする契約ですので、お店側はクレジット会社に対して債権を有することになります。
本来であれば譲渡できる債権に当たるはずですが、クレジット会社は利用規約により債権の譲渡を禁止しているため、お店側はクレジットカード売上をファクタリングによって早期現金化することができませんでした。
今回の改正によって譲渡制限特約が付されていても債権譲渡の効力は妨げられないとなりますので、これらの債権であっても今後は自由に譲渡することが可能になります。

改正後の条文
第四百六十六条(債権の譲渡性)
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。


〈将来債権について〉
将来債権とは、まだ発生していないが、発生が予定されている債権の事を指します。(※例えば、家を貸すことで賃料を得る「賃貸借契約」や、業務完了時に依頼者から報酬を得る「工事請負契約」等は将来発生が予定されている債権であると言えます。)
判例や習慣によって認められてはいたものの法律上の明記が無かった将来債権ですが、今回の改正で“まだ発生していない債権であっても譲渡が可能である旨”が明記されました。

新設された条文
第四百六十六条の六(将来債権の譲渡性)
1 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。
2 債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。
(以下略)


『改正による影響まとめ』
債権譲渡による資金調達は、政府も中小企業の調達手段として以前から注目していました。
法務省発表の資料を見ましても、今回の改正に少なからず影響を与えていることが分かります。

「法務省発表資料」より抜粋

実際に、今回の改正は債権譲渡を規制するものではなく判例で認められた権利を明文化したり、より明確かつ利用者の保護を強めたりといったものでした。
特に、譲渡禁止特約の見直しにつきましてはファクタリング可能な債権の幅が大きく広がることを意味しますので、多くの企業様の資金難改善の糸口となることが予想されます。
(飲食店や美容院が多い福岡・大阪等の企業様から既に多くの問い合わせをいただいております。)
クレジットカード売上が多くキャッシュ不足に悩まされているという経営者様がいらっしゃいましたら、是非ともアンカーガーディアンまでご相談ください。